「道元と曹洞宗」の基本


(図解 早わかり!道元と曹洞宗 /監修 中野東禅・京都竜宝寺住職 /三笠書房 より)

1.宗祖の魅力

曹洞宗…全国に約1万5千寺(宗教年鑑平成二十四年版)の大教団

宗祖…道元

道元の疑問…「すべての人が救われるとする大乗仏教では、人間は生まれながらに仏性(仏の心)をそなえていると教えているのに、なぜ、さとりを得る(仏になる)ために修行する必要があるのだろうか?

煩悩が仏性に覆いかぶさっているため、人は「本来の自己」に気付けない。

煩悩から解放されるシンプルな方法…座禅 →人生の根源的な疑問に対する明快な解答。

一人ひとりが仏の心をそなえている。只管打坐!ただひたすら座れ!

心身脱落!私が座禅するのではない。仏になりきって座禅する私こそ、仏なのである!


2.宗派の特徴

お釈迦様は、座禅によって悟りを得た。

ヨーガ→座禅

・ヨーガ 心身を統一して瞑想。目標を思い描く。神と一体になり、超自然的な力を得る。
・座禅 心身を統一して瞑想。無念無想でひたすら座る。煩悩から解放され、「さとり」を体得。

「禅」は、座禅によって、さとりの境地を体得することを目指す。


3.道元の思想

「日常生活のすべてが禅である。」


4.達磨大師

520年頃、インドより中国へ渡り、実践的な「禅」の教えを伝える。

菩提達磨 お釈迦様より二十八代目

嵩山少林寺にて九年間、終日座禅。(達磨の面壁九年

達磨の教えは、第二祖、慧可に受け継がれ、中国禅宗の歴史が始まった。


5.宗派の名前

<中国禅宗>  菩提達磨→第二祖慧可…第五祖弘忍→第六祖慧能…

7世紀  五家七宗ができる。(曹洞宗、臨済宗など)

曹渓山大鑑慧能+洞山良价→曹洞宗

道元は、お釈迦さまから伝わる仏法そのものを受け継いだと自負。曹洞宗とは名乗らなかった。


6.二大宗祖

曹洞宗の宗祖は、二人。

高祖(常陽大師) 道元        曹洞宗の父 「法統(宗旨)の祖」・・・禅を究め専修道場を開いた。
太祖(常済大師) 瑩山(第四祖)  曹洞宗の母 「寺統(教団)の祖・・・・教団としての曹洞宗を確立。


7.日本の禅宗

曹洞宗、臨済宗、黄檗宗の3つの宗派がある。

曹洞宗…(道元) 黙照禅、生活禅  壁に向かう。            黙々と座る!
臨済宗…(栄西) 看話禅、公案禅  壁を背にする           座って公案を考える。
黄檗宗…明時代の禅の伝統を伝える。                   座禅+念仏


8.本尊

釈迦牟尼仏(釈迦如来)を本尊とする。

まつり方   三尊形式   普賢菩薩・釈迦牟尼仏・文殊菩薩
        家庭用    瑩山禅師・釈迦牟尼仏・道元禅師 (一仏両祖三尊仏)

お釈迦様は、すべての人が仏(覚者)になれることを示した。尊崇される存在ではあるが、お釈迦様にすがって、さとりが得られるわけではない。

(教団が拡大した際に、他宗の寺院を改宗したりしたので、阿弥陀仏、(阿弥陀如来)、地蔵菩薩などをまつった寺院もある。)


9.七堂伽藍

仏殿(本尊を安置)、法堂(仏法を説く講堂)、山門(三門)、僧堂(座禅修行の場・居室)、庫裡(台所)、東司(トイレ)、浴司(浴室)


10.禅宗の仏様

・如来…「さとりの世界に安住する者」。釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来など。
・菩薩…「さとりの一歩手前の修行者」「さとりを得たあともこの世にとどまり、人を救いつづける者」
     文殊菩薩、観音菩薩、弥勒菩薩など。
・明王…人々を仏法に導くために如来が化身した仏様。不動明王、愛染明王など。
・天…仏法の守護神。古代インドの神々。帝釈天(インドラ)、四天王、大黒天、弁才(財)天、など。

<仏殿>  釈迦牟尼仏
<法堂>  聖観世音菩薩
<僧堂>  文殊菩薩など
<庫裡>  韋駄天、大黒天など
<東司>  烏芻沙摩明王
<浴司>  跋陀婆羅菩薩
<山門>  仁王(金剛力士)、または、四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)  

などが、まつられる。


11.規律

三黙堂 禅堂(僧堂)、浴司(浴室)、東司(トイレ)などにおいて、無言で行動する。

音で修行僧の行動をうながす鳴らし物。  梵鐘、魚鼓、 雲版、版(板)など。


12.食即禅

食事をつくること、食べること…大切な修行。

「命をいただく」という気持ちで調理し食べなくてはならない。



道元は、調理、食事の心得を「典座教訓」「赴粥飯法」「正法眼蔵示庫院文」などに細かく書き記している。

他は是れ我にあらず―他人の功徳は私の功徳(修行)にならない。」

今、やるべきことを全力でおこなうこと。


<五観の偈>―食事をいただく前にとなえる言葉

一つには功の多少を計り、彼(か)の来処(らいしょ)を量(はか)る。
(この食事が多くの人々の苦労によって、ここに運ばれたことに感謝します。)

二つには己が徳行の、全欠を忖(はか)って供(く)に応ず。
(自分がこの食事をいただくだけの徳のある行ないをしてきたか、自身を見つめて反省します。)

三つには心(しん)を防ぎ過(とが)を離るることは、貪等(とんとう)を宗とす。
(どのような食事でも好き嫌いをせず、こだわり、とらわれ、かたよりの心を持たずにいただきます。

四つには正(まさ)に良薬を事とするは、形枯(ぎょうこ)を療ぜんが為なり。
(この食事をまさしく良薬としていただきます。)

五つには成道(じょうどう)の為の故に、今此の食(じき)を受く。
(よりよく生きるために、この食事をいただきます。)